超わかりやすいニュースとFXのバイブルサイト

ブログ

世界的景気後退の中、最強の強さを見せる米ドル

アメリカ経済は最悪な状況、かつ失業者も過去最高を記録。
それにも関わらずアメリカの米ドルは為替市場では、意外な程ドル高を維持しています。今回は、「意外な米ドル高の背景にはなにがあるのか?」を考えてみました。

大恐慌以来最悪の景気後退も

世界経済が今年、10年前の世界金融危機のときを超える、大恐慌以来最悪の景気後退を経験する可能性はきわめて高い。

これは4/13にIMF(国際通貨基金)が発表した「世界経済見通し」の中の一文です 。大恐慌とは今から90年ほど前の1929年に米国を発端とした世界不況。

世界恐慌については以下もご覧ください。

10年前のリーマンショックではなく、今回の「コロナウィルス感染拡大こそが、100年に一度の経済危機」と言っているのです。

リーマンショックは金融機関から経済に対して影響を与えたのに対し、コロナウィルス感染拡大は人々の命や暮らしに直接ダメージを与えているのですから、より事態が悪いことに納得できます。

なお、IMFの今年の世界の成長率の見通しはマイナス3.0%。
昨年の実績がプラス2.9%でしのたので、1年で5.9ポイント悪化する予想を発表したことになります 。

IMF公式サイト 世界経済見通し 2020年4月より

対円でのドル相場の強さの理由

こうした中で為替相場ではドルは対円に対して底堅さを見せています。
コロナウィルス感染拡大防止の為の大量のお金がFRB(米国の中央銀行)を通じて世の中に出回っていることを考慮すると、これは不思議なな現象と言ってもよいでしょう。
この現象の背景をの推察をしてみましょう。

推察1:米国経済の回復の兆しを嗅ぎ取ったから

世界を驚かせた4月の米国失業率は14.7%!

米失業率は最悪な結果に

1948年の統計開始以来、つまり戦後最悪の数値でした 。
しかし、マーケット関係者は失業率より、新規失業保険申請件数に注目したようです。

失業率の数字には先月から今まで継続して失業している人が含まれています。

これに対し、新規失業保険申請件数は、前週に始めて失業保険を申請した(ただし季節調整は行われます)件数を示しています。

したがって、失業率と比較すると、新規失業保険申請件数のほうが、より最近のトレンドを反映します。

この、新規失業保険申請数は6週連続で減少していました 。

米新規失業保険申請数

失業率の上昇と新規失業保険申請数の減少は、米国経済は今「ひとたび職を失った人が再就職できるほど雇用環境はよくないが、新しく解雇される人は少しずつ減りつつある状況」を示しています。

アメリカのGDPは70%を「個人消費」が占めているのですが、個人消費は雇用と強い関係がありますので、

新規失業保険申請件数が減少傾向

米国経済の底は近い!今が買い時だ!

ドル買い

と投資家が連想したことが、足元の米ドルの強さにつながっているとも考えられますね。

推察2:コロナ後のアメリカに期待 IT&ヘルスケア

コロナウィルス感染拡大をきかっけにテレワークは多くの国で推進されていくでしょう。

STAY at HOMEは、IT企業にとって追い風です。

アメリカ株式市場におけるIT企業、コミュニケケーションサービス企業が占める時価総額の割合は4月末現在36.5%です 。

S&Pファクトシートより

日本では東証一部における情報通信セクターの比率は12.6% ですので、日米の差は約3倍!

IT企業の多さもコロナ後の復活の速さを連想し、投資資金を米国に寄せる≒米ドル高の一つの要因でしょう。

同様のことが医薬品を含むヘルスケアにも言えます。
コロナウィルスに対する治療薬のみならず、衛生意識の高まりは世界的に加速していくでしょう。米国のヘルスケアセクターが占める割合は15.4%、日本での医薬品は6.7%です。

IT・ヘルスケア企業の存在感あるアメリカは、コロナ終息後の復活が速いと考える投資家が多いのかもしれません。

推察3:トランプ大統領の発言

トランプ大統領は17日に

トランプ大統領 トランプ大統領
強いドルは全体としてとても良いことだ。強いドルを持つ好機だ。我々がドルの強さを維持したため、誰もがドルを持ちたがっている

と記者に話したそうです 。
トランプ大統領はこれまで、ドル安を誘引する発言を行ってきており、ドル高に関しては牽制してきた立場でした。

しかしここにきて、方針転換。

今まで、散々ドル高牽制を行ってきたトランプ発言にも投資家はマンネリしていたところ。

この発言を聞いた投資家が「政策に売りなし」とばかりに手元資金をドルに交換した可能性も考えられます。

米ドルの性格 〜有事のドル買い?米ドルと原油価格との逆相関?

「有事のドル買い」という言葉を耳にされた方はことはありますか?
歴史的に米ドルは、スイスフランと同様、戦争などでマーケットが不透明な環境において資金が流入する傾向がみられました。

この先何が起こるかわからない。「それであれば、自分の大切な資産を信用力の高い米ドルや、戦争に巻き込まれないスイスフランに換え、資産価格の暴落に対抗しよう」と考えるからです。

最近はリスクオフになると円高に進む局面が多かったのですが、今回の不思議なドル高は「有事のドル買い」という現象が出現したとも考えられますね。

また、「米ドルと原油価格とは反対方向に動く」という性格も持ち合わせています。

原油価格は4月20日1バレル=-37.63ドルと史上初のマイナス価格をつける暴落をみせました (先週はだいぶ回復しましたが)。低水準な原油価格も米ドルの底堅さの隠れた立役者なのかもしれません。

これからの注目イベント

今後の注目点は

  1. 6月5日発表の雇用統計
  2. 新型コロナ対策第4弾の可決
  3. 11月3日の大統領選に向けた論点

の3点が挙げられます。

①6月5日発表の雇用統計

新しい雇用が生まれにくい環境下、5月の失業率は4月の14.7%よりさらに悪い値がでてくることが予想されます。新規失業保険申請件数の動向に注目です。改善傾向が続く場合は現在のドル高継続の要因になるでしょう。

②新型コロナ対策第4弾の上院可決

トランプ大統領は3月以降、ワクチン開発への支援や家計への現金給付、中小企業への資金支援など矢継ぎ早に3兆ドルものコロナ対策を打っています。

5月15日にはさらに追加の3兆ドルの経済対策が下院を通過しています 。総額が米国の年間歳出に匹敵する一連の巨額の経済対策は、その効果に着目が集まれば、米国経済の先高感から、ドル高の地合いが続くでしょう。

しかしながら、財政悪化に着目されるようになると一転して、ドル安の要因になりうります。

③11月3日の大統領選に向けた論点

トランプ大統領の支持基盤の一つは製造業で働く白人労働者です。5月17日には、強いドルは好ましいという趣旨の発言をしたトランプ大統領ですが、元来彼は製造業の競争力を弱めるドル高を嫌っていました。

投票日が近付くにつれ、ドル高支持から従前のドル安支持に戻る可能性も多分に考えられます。発言のニュアンスの変化に伴いドル安(円高)のトレンドに転換することも十分に考えられます。

現状が意外感ある米ドル高であることから、ちょっとしたことで為替が大きく動くことが想定されます。年内はボラティリティ大きい稼げるチャンスが、何回も見られそうですね。チャンスをガッチリGETしていきましょう!

なるほど!と思ったらいいね・シェアして友達に教えてあげよう!
執筆者:かみきち
金融、証券業界に20年以上従事。 様々な相場をリアルタイムに経験してきているマーケット村の住人。 講師経験も豊富。