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経済をコントロール?イールドカーブコントロールとは

2020年7月1日にアメリカの連邦準備理事会(FRB)6月に実施したFOMCの議事録で、今後の金融政策の手段としてフォワードガイダンスを取り上げていきたい意向を示しました。

一方、実施確率が後退したのがイールド・カーブコントロール(YCC)です。

イールド・カーブ・コントロールは9月までに採用されるのではないかと、注目が集まっていましたが、その見通しが一転した格好です。しかし、足元の不安定な景況感を考慮すると、当面はありとあらゆる選択肢を視野に金融政策を展開していくことが考えられます。

そこで、今回は中央銀行の役割を再確認したうえで、コロナ禍でのFRB(アメリカの中央銀行)がとってきた行動を振り返り、YCCとは何か、また実行された場合の為替レートの水準などについて解説します。
そして、YCCが実施された場合のイメージ作りをしてみてください。

中央銀行の役割

まず中央銀行の役割を確認しておきます。

FRBの役割

これらの役割を果たすために中央銀行は、政策金利を操作します(伝統的手法)。金利操作では効果が出ない、又は金利を動かすことが適切でないと判断した場合は、国債などの資産を売買することで、世の中からお金を吸い上げたり、反対にお金を放出したりします。

さらに、
「こういう条件が満たせれれば政策金利を上げ(下げ)ます」
「こういう条件が満たされるまでは政策金利は動かしません」など、金融政策の方向性をあらかじめ発表しておく「フォワードガイダンス」という手法を使うこともあります。

コロナ禍における中央銀行のテーマと施策

金融市場の安定回復

米国は、高い失業率、ロックダウンなどの影響で実態経済はかなり悪い状態にあります。
こうした中FRBが、意識したことは「金融市場の安定回復」です。

まず政策金利の引き下げを実行しました。

2020年3月3日の緊急会合後に0.5%の利下げを実施。
政策会合以外で利下げを実施したのは、2008年の金融危機以降で初めてのケースでした。

政策金利を引き下げ、市中銀行が企業などへの貸出金利を低く誘導することで、世の中にお金が沢山出回らせるようにする(金融緩和)しました。

次に行ったのは「量的緩和」です。
2020年3月に信用力の低い社債を購入したり、無制限で国債を購入できることを決めました。

債券の「購入代金」としてお金を沢山世の中に供給するやり方です。

利下げは一般的に債券での運用難及び、利幅縮小により銀行収益に悪影響を与える傾向があります。

次の手法としてFRBは金利の深堀りではなく、量的緩和を選ぶことで銀行の体力を奪うことなく世の中へお金を放出(資金供給)することを狙ったのです。

景気対策

その後、FRBのテーマは「金融市場の安定」から「景気対策」に移ります。
6月には銀行が企業向けに融資した債権を買い取る「メインストリート融資制度」を大幅に拡充させました。

これは、銀行が中小企業向けに貸し出した債券をFRBが買い取るという制度で、実質的には中小企業の資金栗繰りを助ける効果があります。従来FRBが手掛けてこなかった手法です。

上記を含む様々な手法を使ってきたFRBが、次に採用するのではと、注目を集めていたのが「イールド・カーブコントロール」です。

イールド・カーブコントロール(YCC)とは何か

イールド・カーブ・コントロール(YCC)とは、「長短金利操作」のことを言います。長期金利の目標となる金利水準と短期金利の目標となる金利水準を定めて、その数値になるまで債券を購入して、金利を操作します。

FRBなど中央銀行が債券を購入すれば、債券価格は上昇し、世の中の金利とその国の通貨は下がります。

イールド・カーブとは利回り曲線といわれるものです。

債権は長期債権であるほど利回りがよくなる

横軸に償還(債券の満期)までの期間、縦軸に利回りを置いたグラフで表示利回りと期間の関係を表すと、通常は償還までの期間が短いほど利回りが低く、期間が長いほど利回りが高くなります。グラフが緩やかな曲線を描く形状の為、「利回り曲線」と呼ばれています。

債券は償還までの期間に応じて、

  • 1年未満:短期債
  • 1年~5年以下:中期債
  • 5年超10年以下:長期債

と分類します。
分類上は5-10年が長期債となっていますが、ニュースなどでは「長期債」=「10年債」として使われています。

仮にFRBがYCCを採用した場合、どの年限にターゲットを置いた操作をしてくるのかに、注目が集まっています。どの年限をターゲットにするかによって、為替や経済に与える影響が異なってくるからです。

ターゲットが5年の場合、ドル円は105円を挟んだ展開を予想

ソシエテ・ジェネラル銀行の鈴木恭輔氏は「5-10年のところを触ってくると相当パワーを感じる。(中略) 105円アンダーの世界が垣間見えてくる」と話しています。
また、みずほ銀行の唐鎌大輔氏は「短中期ゾーンが対象となるなら、105-110円のレンジは変わらない」と予想しています。

ターゲットが10年の場合、ドル円は100円以下も!

三菱UFJ銀行の内田稔氏は「10年となれば (中略)ドルには相当の下押しとなり、場合によっては年内100円割れもあり得る」とコメント。

前出のみずほ銀行の唐鎌大輔は「10年なら誰も想定していないので、(中略)105円以下のところを主戦場とするような動き」としています。

なお、10年国債利回りは住宅金利などの「指標」に使われているケースが多く、金利低下の効果が非常に大きくなります。

出典:米国版YCC、長期ゾーン対象に導入なら1ドル=100円割れとの声も

「サプライズ」が一番ボラティリティが高い

冒頭に説明したように、6月のFOMCの議事録ではフォワードガイダンスが今後の施策として評価を上げる一方、YCC実施には慎重な見解を示しました。

しかし、コロナウィルス感染のさらなる広がりや、第二波到来などで、想定どおりに米国経済が復活しなかった場合、FRBはさらなる手法を使って景気対策を図ることが想定されます。

ここ数か月を振り返っただけでも、世界恐慌来の高い失業率、原油先物のマイナス価格など、想定外のことが起きています。

突然の方針転換でYCCが採用されることも十分考えられます。だれも想定していない事態であればあるほど、実現したときのボラティリティは高く、投資魅力が高まるタイミングになります。

サブシナリオとして心にとめて置き、現実となった時にチャンスを逃さないようにしましょう。

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かみきち
執筆者:かみきち
金融、証券業界に20年以上従事。 様々な相場をリアルタイムに経験してきているマーケット村の住人。 講師経験も豊富。