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中国が目指す一帯一路構想とは!?

一帯一路構想とは何か?

中華人民共和国の習近平国家主席は、2013年に新たな経済構想を提唱しました。
「一帯一路」という経済構想です。

アジアとヨーロッパを陸路と海路でつなぐ物流ルートを作り上げることで貿易を活性化し、経済成長につなげようという構想です。

かつて、中国とヨーロッパはシルクロードとよばれる交易路によって結びついていましたが、それを現代によみがえらせようというプロジェクトといえるでしょう。

一帯一路構想は2つのルートによって構成されます。
一つは陸路でユーラシア各国を結ぶ「シルクロード経済ベルト」(一帯)。
もう一つは東南アジアから南インド、アラビアをへてヨーロッパに至る「21世紀海上シルクロード」(一路)です。

一帯一路のルート

中国は今後数十年をかけてこれらの地域の通信設備や道路、港湾などのインフラを整備し、貿易や金融、電子商取引などの投資を積極的に推し進めようとしています。

この巨大プロジェクトにはヨーロッパ諸国やシンガポールなどが参加を表明しています。2019年3月段階で、中国政府は125の国と「一帯一路」の覚書を交わしています。世界の半数以上の国が参加することからも、いかにこのプロジェクトが巨大で、中国が強い経済力を持っているかがわかります。

シルクロード経済ベルト(一帯)

シルクロード経済ベルト(一帯)は、ユーラシア大陸を横断するルートです。

一帯一路構想がスタートする前の2011年、中国とヨーロッパを結ぶ貨物列車は17本に過ぎませんでした。

しかし、2017年には3673本と激増し、2018年には1万本を越えました。

中核となる鉄道路線は中国からカザフスタンやロシア、ベラルーシを経由してポーランド、ドイツ、フランスへと至ります。

一帯ルート

まさに、ユーラシア大陸を横断していますね。このルートは中国企業だけではなく、欧米企業や日本企業にも活用されています。鉄道路線に加え、原油や天然ガスを運ぶパイプラインも建設されました。

中国を中心に、人・モノ・カネの流れができているのがわかります。

21世紀海上シルクロード(一路)

21世紀海上シルクロード(一路)は、中国南部から東南アジア、インド洋、紅海を経てトルコ・イタリアに至る海上交通路です。

一路ルート

もともと、中国南部は交易が盛んな地域でした。

中国南部沿岸地域出身の人々は東南アジア各地に拠点を築きます。
中国にとって、南方への進出は伝統的に行ってきたことでした。

この航路上で重要な場所はマラッカ海峡を抑えるシンガポールと南インドの重要拠点であるスリランカ、紅海の入り口にあたるジプチです。

中国はこれらの港で政府の協力や港の使用権などを得て交易の拠点としました。

一帯一路構想を資金面で支える「AIIB」と「シルクロード基金」とは?

AIIBについて

一帯一路は設備投資が莫大にかかる為、中国はインフラへの投資をメインとした投資銀行を設立しました。それが「AIIB(Asian Infrastructure Investment Bank)」です。
AIIBは、アジアインフラ投資銀行ともいいます。
2020年1月段階で、102の国と地域が加盟する金融組織となりました。

欧米が主導するIMF(国際通貨基金)や日米が主導するADB(アジア開発銀行)などと同じく、アジア向けの開発融資や助言を行う機関です。最大の資金を出資する中国はAIIBの議決権の30%近くを保有しています。

議決を拒否するためには25%以上の反対が必要なので、単独で拒否権を持っているのは中国だけです。つまり、中国が反対・・といえば議決拒否が成立するという事です。

参加した国々の目当ては中国が持っている巨額の資金です。

改革開放政策が成功した中国は、欧米に対する輸出を急速に伸ばし巨額の貿易黒字を築き上げてきました。その資金の一部がAIIBに注ぎ込まれているわけです。

シルクロード基金について

もう一つのシルクロード基金は、2014年に中国が独自に設立したファンドです。他の国が参加していないため、シルクロード基金の使い道は中国が単独で決定できます。

シルクロード基金は一帯一路構想を支援する金融機関であると明記されているので、国際金融機関であるAIIBと性格が異なります。資産規模は両組織とも1000億ドル以上と巨額です。

開発途上国が陥る「債務の罠」

莫大なチャイナマネーは多くの国を引き付けました。
しかし、中国による融資が相手国の政治・経済に大きな影響を与え、結果的に中国への従属を強いられる「債務の罠」になるのではないかと懸念されています。

一帯一路に参加した国々は、中国資本の融資を得て道路や港湾などの整備をおこないます。
しかし、利用料収入などが当初の目論見よりも少ない場合、中国から借りたお金を返済できないという事態が生じます。

実際、スリランカは国内にハンバントタ港という、乗客用ターミナルや貨物取扱所・倉庫・燃料積込地港を建設しましたが、当初の見込みよりも利用が伸びず、投資資金を回収できませんでした。

そこで、スリランカはハンバントタ港の利用権を99年間、中国に引き渡してしまいます。

これにより、中国は南インドで自由に使える港を手に入れることができました。お金を貸して、返済できない相手から土地や港の利用権を得るのは19世紀から20世紀初頭にかけて欧米列強が多用してきた方法です。

欧米諸国は中国(当時は清王朝)に鉄道建設などの資金を融資(借款を貸し付け)します。返済できない場合は、鉄道やその周辺の鉱山の採掘権などを清王朝から獲得していました。

こうしたやり方は「新植民地主義」として各国から批判されるようになります。また、これを懸念したマレーシアのマハティール首相は鉄道プロジェクトについて中国政府と交渉し、建設費用(中国への債務)の3割減額に成功しました。

まとめ

一帯一路は中国が国運を賭ける巨大プロジェクトです。
陸路と海路の両方でユーラシア大陸を横断し、中国とヨーロッパを結ぶ物流ルートを作ろうという壮大な構想です。

そのために中国はシルクロード基金を作りました。また、AIIBのような国際金融機関も設立します。中国が持つチャイナマネーは多くの国を引き付けました。しかし、中国から借りたお金を返済できず、港などの設備使用権を中国に引き渡す国がでてきました。

発展途上国が一帯一路に参加すると、債務の罠にはまるのではないかという懸念があります。しかし、大きなビジネスチャンスを逃したくない発展途上国はリスクを承知で一帯一路に参加しています。

為替の世界で起こる事(ボス追記)

一帯一路、中国にとってとても重要なプロジェクトであると同時に、開発対象となる新興国などにとってはとてもリスキーなものでもあるという事が分かりましたね。

しかし、一帯一路計画はまだまだ見えない部分がたくさんあります。
例えば、このコロナ問題の中、各国の経済状況は歴史的な悪状況となりました。そんな中で莫大なお金を、中国が中心となっているAIIBへ投資していくか?という疑念があります。

さらにアメリカを始めとしてイギリス・欧州各国も経済・技術的に中国排除の動きを強めようとしている動きも見られます。

コロナによって一層中国排除の動きが加速しているので、今後この計画がどのようになるのか、不明瞭になってきたとも言えるのではないでしょうか?

仮に、計画がうまくいったならば、資金は投資参加国に流れ、米ドルの価値に下げ圧力がかかるでしょう。
計画に暗雲が立ち込めたのであれば、米ドルや円への投資が進む事も考えられます。

特に豪ドルにおいては、中国貿易とも強く関連する通貨ですので、下落リスクを注視する必要がありますね。

一帯一路計画は、外国為替(FX)にも大きく影響を与えてくる可能性のあるプロジェクトですので、要注目のニュースとなります。

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元予備校講師X
執筆者:元予備校講師X
社会科講師歴10年以上の元予備校講師。 学習塾での講師経験を含めると15年以上、社会科講師として教壇に立っていました。 現在はニュース解説記事などを書いてWeb上にアップしています。 目下の関心事はアメリカ大統領選挙とコロナショックが世界経済にどのよう影響を与えるかです。