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世界経済を揺るがすバッタ類の大繁殖!

バッタ類がもたらす蝗害(こうがい)とは

古来、人類は農業を発展させることによって人口を増やし、文明をはぐくんでいました。そのため、農作物に害をもたらすものは、病気であれ、天候不順であれ、人々の脅威となってきました。

それらの脅威の一つに「蝗害(こうがい)というものがあります。「蝗」は訓読みで「いなご」と読みますが、「蝗害」は、イナゴよりも広く分布するバッタ類がもたらす食害のことです。

蝗害を引き起こすのはトビバッタやワタリバッタと呼ばれる種類のバッタです。通常、これらのバッタ類は分散して生育するため大量発生には至りません。しかし、気候条件などが整い、これらのバッタの生息密度が高まると長距離飛行に適した状態に変化します。

変化したバッタ類は周辺にある植物や植物由来の製品を全て食べつくします。
そして、新たな食べ物を求めて一定方向に飛行します。

移動を続けながら農作物を食い荒らす

蝗害は古代中国の殷王朝の時代(今から3500年前)から記録されました。蝗害は中国だけではなく、世界各地で記録されています。2000年に入っても中国南部の海南省やエジプト、西アフリカ、マダガスカルなどでも発生しており、決して過去の農業被害というわけではありません。

2019年に東アフリカで大発生したサバクトビバッタ

2019年、東アフリカでサバクトビバッタが大量発生しました。サバクトビバッタは蝗害をもたらすバッタの一種で、主に西アフリカから中東、インドまで幅広い範囲に生息しています。

大量発生のきっかけは2018年におきたサイクロンでした。
この時に降った大雨により東アフリカでサバクトビバッタのえさとなる植物が繁茂し、大量発生の原因となったと考えられます。

サイクロンからバッタが大量発生

2019年になるとサバクトビバッタはサウジアラビアや東アフリカのソマリア・エチオピアに拡大します。特に、2019年の東アフリカはサイクロンがたびたび発生し、バッタの生育に適した環境になっていました。

そのため、サバクトビバッタはさらに数を増やし手に負えないほどの大繁殖となったのです。

サバクトビバッタは数千万から数億匹単位の群れを形成し、1日100キロメートル以上移動します。
広範囲を移動できるので、農業被害も広い地域で発生してしまうのです。
また、今回サバクトビバッタが発生した地域は経済的に貧しく、政治が不安定です。したがって、組織的なサバクトビバッタの駆除が難しいのが実情です。

対バッタの切り札?中国がアヒル軍団を派遣するって本当?

2020年2月下旬から3月上旬にかけて、サバクトビバッタの駆除に関連する中国発のニュースが世界を驚かせました。中国政府がサバクトビバッタの被害に苦しむパキスタンに、バッタを食べるアヒルの軍団を派遣するというのです。

アヒルがバッタを駆除してくれるというなら非常に頼もしいです。

このニュースはアヒルの映像とともに世界各地に報じられました。
しかし、そもそもアヒルは水鳥で乾燥地帯での活動に適していません。

では、なぜこのような報道がなされたのでしょうか。

ひとつは、2000年に新疆ウイグル自治区でアヒルが投入されたという実績があること。

もう一つは、浙江省にある農業科学学院の主任研究員がパキスタンへのアヒル軍団投入を発言したことです。

とはいえ、中国政府の正式発表はなく、結局のところアヒル軍団の派遣は確認されていません。アヒル軍団派遣は、デマとまで言えませんが、誤報だと言って差し支えないでしょう。

新型コロナとサバクトビバッタで危機的状況にあるインド

東アフリカからアラビア半島にかけて席捲したサバクトビバッタは、ペルシア湾を越えイランやパキスタンに勢力を拡大します。

そして、ついにインドに到達しました。

インドは3月に到来したバッタの第一波は撃退しましたが、4月以降に襲ってきた第二波に苦しんでいます。

ちょうど、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大がみられたころで、インドは新型コロナとサバクトビバッタの同時攻撃にあっています。感染症の影響でサバクトビバッタに有効な対策が打てなかったため、被害に歯止めをかけることができていません。

そして、6月にはインド北部にある首都のニューデリーにもバッタの大群が到達してしまいました。2020年7月段階で、インドの農地のうち5万ヘクタールにサバクトビバッタによる被害が発生しています。

また、インドでは新型コロナウイルスの感染者数にも歯止めがかからず、2020年8月段階で200万人を突破しました。世界第二位の人口があるインドで食糧危機が発生した場合、穀物価格の上昇など世界貿易に大きな影響が出かねません。

南米でもミナミアメリカバッタが大量発生

現在、世界で発生している蝗害はサバクトビバッタによるものだけではありません。2020年5月、南アメリカの国の一つであるパラグアイでミナミアメリカバッタが大量発生しました。

ミナミアメリカバッタはブラジルやパラグアイに生息する熱帯のバッタです。
5月21日、ミナミアメリカバッタの群れが国境を越えアルゼンチンに侵入しました。アルゼンチンは世界的な農産物・畜産物の輸出国です。

アルゼンチン政府はただちに農薬などを散布してミナミアメリカバッタに対する対策を開始しました。アルゼンチンとしては穀倉地帯のブエノスアイレス州への侵入は何としてでも阻止したいところでしょう。もし、ミナミアメリカバッタがアルゼンチンの穀倉地帯に被害を及ぼした場合、世界の小麦価格や牧草を餌としている牛(牛肉)の価格に大きな影響が出るかもしれません。

2020年5月にデフォルトを起こしたアルゼンチンは、非常に苦しい経済状態の中、バッタへの対策を迫られています。

まとめ

2020年、世界は新型コロナウイルスだけではなくサバクトビバッタがもたらす蝗害に苦しめられています。2018年から2019年にかけて数を増やしたサバクトビバッタは東アフリカからアラビア半島、イラン、パキスタンを経てインドにまで到達しました。

パキスタンと友好関係にある中国からアヒル軍団がサバクトビバッタ対策の切り札として投入されるとの情報がありましたが、誤報のようです。

バッタ類の被害はインドでも急拡大し、新幡コロナウイルスとのダブルパンチに苦しみます。

また、南アメリカではミナミアメリカバッタの大量発生による蝗害が発生しています。いまのところ、アルゼンチンの穀倉地帯への侵入は防いでいるようですが、被害が拡大すれば穀物価格に大きな影響が出るかもしれません。

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元予備校講師X
執筆者:元予備校講師X
社会科講師歴10年以上の元予備校講師。 学習塾での講師経験を含めると15年以上、社会科講師として教壇に立っていました。 現在はニュース解説記事などを書いてWeb上にアップしています。 目下の関心事はアメリカ大統領選挙とコロナショックが世界経済にどのよう影響を与えるかです。